興行ビザとは、施設において公衆に対して演劇や演奏、スポーツ等の活動や芸能活動を行うための在留資格です。具体的には、俳優や歌手、ダンサー、プロスポーツ選手、カメラマン、クラブなどの出演者が挙げられます。また、振付師や演出家、トレーナー、マネージャーその他指導者や、演劇などのスタッフも含まれています。つまり、日本で興行を行うために来日する外国人のためのビザになります。

20種類以上ある在留資格の中でも、申請の条件や必要書類が難しく、比較的、申請が難しいビザです。今回は、興行ビザについて、わかりやすく解説します。

1.興行ビザの活動できる範囲

まずは、興行ビザで何ができるかを確認しましょう。入管法では、興行ビザは下記のような活動ができると記載されています。

演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の経営・管理の項の下欄に掲げる活動を除く。)

出入国管理及び難民認定法(別表第二の二)

最初のところでも確認したように、興行ビザは「エンターテイメントや芸能を行う活動」のためのビザであると言えます。

2.興行ビザの種類

次に興行ビザと言っても、日本で行う活動に応じて、審査要件が異なってきます。ここでは、興行ビザの種類に応じて、どのように審査項目が変わっていくか解説します。

なお、下記の要件は出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令に基づいております。

まず、興行ビザには1号、2号、3号に分類されます。

  • 興行ビザ1号:演劇等の興行活動に従事しようとする(ライブやクラブなどの出演者)
  • 興行ビザ2号:演劇等の興行活動以外の興行活動(スポーツの試合やダンス選手。トレーナーなど)
  • 興行ビザ3号:興行活動以外ので行うモデルや歌手、放送ディレクター、カメラマンなど

次に、1号の中でも「イ・ロ・ハ」に分かれます。それぞれを種類を分かりやすく説明します。

⑴興行ビザ1号「イ」 ※興行ビザを利用したことのある団体

申請人が次のいずれにも該当する本邦の公私の機関との契約に基づいて、風営法第二条第一項第一号から第三号までに規定する営業を営む施設以外の施設において行われるものであること。

  • (1)外国人の興行に係る業務について通算して三年以上の経験を有する経営者又は管理者がいること。
  • (2)当該機関の経営者又は常勤の職員が次のいずれにも該当しないこと。
    • 人身取引を行っていないこと
    • 売春防止法等の罪により刑に処せられていないこと
    • 暴力団員でないこと等
  • (3)過去三年間に締結した申請人と本邦の機関との契約に基づいて興行の在留資格をもって在留する外国人に対して支払い義務を負う報酬の全額を支払っていること。
  • (4)前各号に定めるもののほか、外国人の興行に係る業務を適正に遂行する能力を有するものであること。

⑴興行ビザ1号「ロ」 ※国や教育機関等の団体が興行ビザを利用

申請人が従事しようとする活動が次のいずれかに該当していること。

  • (1)国・地方公共団体等が主催するもの又は学校教育法に規定する学校等において行われるものであること
  • (2)国、地方公共団体等の資金援助を受けて設立された本邦の公私の機関が主催するものであること
  • (3)外国を題材にしたテーマパークで敷地面積10万㎡以上の施設で行われるものであること
  • (4)客席における飲食物の有償提供がなく、客の接待を行わないものであって、客席部分の収容人員100人以上又は非営利の施設で行われるものであること
  • (5)報酬1日50万円以上であって、30日を超えない期間本邦に在留して行われるものであること

⑴興行ビザ1号「ハ」 ※⑴や⑵以外のケース

申請人が従事しようとする活動が、次のいずれにも該当していること。

  • 申請人(外国人)、招へい機関、施設について厳格な要件

3.興行ビザの必要書類

最後に一番大切な興行ビザの必要資料を確認しましょう。

  • 申請書
  • 顔写真
  • 申請人の経歴書とこれまでの活動内容一覧
  • 契約する会社の全部事項証明書及び直近の決算書
  • 契約会社の役員の履歴書(実務経験がある人のみ)
  • 興行活動を行う施設の営業許可書、施設の図面や写真
  • 雇用契約書及び雇用条件書
  • 申請人(外国人)の日本での活動内容(滞在計画票など)
  • 以前興行ビザの申請をしたときの書類