無職や低収入で生活費が足りないことから生活保護の申請を検討していて、自分が受給できるか心配な人は多いのではないでしょうか。厚生省の統計データによると、2021年の生活保護受給者は210万人に登っています。日本人の6%以上が生活保護受給者であると言えます。

ただ、生活保護を受給するには収入制限や財産制限など、様々な要件があり、容易に受給できるとは言えません。

この記事でわかること

  • 生活保護に申請するための収入条件
  • 生活保護でもらえる金額
  • 年金と生活保護は両方もらえるのか。
  • 働きながらでも受給できる?
  • 外国人も生活保護を受けられるか?

そのため、生活保護を申請する際にはあらかじめ収入制限や財産制限の内容を確認してから行うべきと言えるのでしょう。

今回は生活保護の申請要件と取得できる金額をわかりやすく説明させていただきます。

生活保護制度とは?

生活保護とは、様々な理由で働くことができない人や極端に収入が少ない人のために最低限の生活を送ることができるように市役所などの公的機関が対象者を支援する制度です。

生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。
生活保護の相談・申請窓口は、現在お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です。
福祉事務所は、市(区)部では市(区)が、町村部では都道府県が設置しています。

厚生労働省

生活保護の扶助の扶助種類には下記の通り8つほどあります。

  • 生活扶助:食費や光熱費などの費用
  • 住宅扶助:家賃などの費用
  • 教育扶助:義務教育を受けるための費用
  • 医療扶助:医療サービスの費用がゼロになる
  • 介護扶助:介護サービスの費用がゼロになる
  • 出産扶助:出産費用の負担
  • 生業扶助:就労に必要な能力を取得するための費用
  • 葬祭扶助:葬儀の費用の負担

生活保護の制度には、生活費用として受給することができる「生活扶助」だけでなく、子供の教育費用を負担してくれる「教育扶助」や医療サービス費用を負担してくれる「医療扶助」があります。また、これ以外にも特段の事情による急な出費で資金が必要になった場合、一時的な扶助を受けることや妊婦さんや障害手帳を有している人は、その程度により費用の加算があります。

生活保護を受けるための主な要件

①世帯単位が収入が国の定める最低生活費用を下回っていること

最低生活費用とは、国が憲法の条文に基づき、算定した金額のことです。具体的な数値に関しては、算出方法が難しいこと、申請者の状況により減額や増額があるため、ここで紹介しませんが、参照できるリンクを記載しておきます。ここの価格は主に「地域・年齢・財産」などの加味して決定されています。なお、ここでいう財産とは、給料、貯金、持ち家や不動産だけでなく、保険や年金なども含まれています。

生活保護基準における級地区分の参照データ

②持ち家や車などの資産がないこと

不動産を所有していたり、車を所持していると、その売買により資産を確保できるとみなされ、申請ができきないケースがあります。不動産の場合は抵当権などの住宅ローンがある場合は、その債務を可能な限りで返済する必要があります。

ただ、不動産や車を持っていても、土地の価値が著しく低い場合や重度の障害で住居変更や車なしでの生活が困難の場合には、これらを保有していても申請することが可能です。

③怪我や病気が原因で働けないこと

怪我や病気が原因で働けない場合にも生活保護を申請することは可能です。また、乳幼児や親族の介護で申請者が元気でも働けない状況であれば申請することは可能になります。

近年よく聞くのは、身寄りのないシングルマザーが育児を理由に生活保護を申請したというケースです。上記のケースの場合、一般的な育児休暇の期間である2年間ぐらいは生活保護制度を利用できる市町村が多い印象があります。

また、親族がいたとしても、その親族が病気などで子育ての支援ができない場合にも生活保護を受給することができます。ただし、母子父子寡婦福祉資金貸付金を受けている場合には生活保護を受給できません。

④公的支援を受けていないこと

ここでいう支援とは、例えば、母子父子寡婦福祉資金貸付金、求職者支援資金融資制度、雇用保険失業給付、休業補償制度などがあります。また、高齢者の方で年金をある程度の受け取っている場合には生活保護を受給できません。なお、年金だけでは生活できない場合、その不足分を補う範囲に限り、生活保護を受給することができます。

⑤三親等以内の親族の支援を受けられないこと

頼れる身内がいない人や親族の収入も低く、援助を受けることが難しい場合には、生活保護の受給資格が得られます。これは民法に定めてある扶養する義務から来ているものです。実際に、三親等以内の親族に職員が電話を行い、確認することもあります。

なお、最近よく質問される事例として「働きながらでも生活保護を受給できるのか」ということをよく聞きます。この回答になりますが、「生活保護費用を受給しながら労働も可能」です。ただし、年金と生活保護費用の併用受給のように、給与が最低生活費用に達していないときに、不足分を補う範囲で補償されます。

また、日本に在留している外国人も、下記のいずれかの条件を満たしていれば、生活保護費を受給できます。

  • 日本人の配偶者ビザ、永住ビザ、定住者ビザ
  • 特別永住者
  • 難民認定を受けた者

生活保護申請する際に専門家に依頼した方がいいケース

一般的に生活保護申請はご本人様がされること多いですが、行政書士などの専門家に依頼した方がいいケースも存在します。下記のようなケースの場合には、一度専門家の話を聞いてみたほうが申請が通りやすくなる可能性があります。

  • 生活保護を受けたいが、家や車を手放すと生きていくことすらできない
  • 親もまだ生きているが数十年疎遠のため、連絡とりたくない。
  • 日本で生まれた外国人だけど、本当に申請できるのか

このような場合には、一度専門家に相談してから市役所に行ったほうがいいでしょう。専門家によっては同行してくれる場合もあるので、安心して申請できるかと思います。

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