【国際業務専門】入管の審査はどのような項目を確認しているの?~重要な項目2つを解説~

外国人が日本で住むためには、上陸してから、在留資格を取得するか、上陸前に在留資格の認定を受ける必要があります。外国人が来日することを入管に申請し、それを入管が審査するというの一般的な手続きです。

※「入国」は領空・領海に入ること、「上陸」とは領土に入ることとされています。

この審査ではどのような項目を確認しているか、皆さん気になるかと思います。ここで重要になるのが、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)の第7条1項各号と入国・在留審査要領(法務省が有する文章)になります。

入管法第7条には以下の審査項目があります。

  • 入管法第7条第1号:旅券及び査証が有効であること
  • 入管法第7条第2号:活動の非虚偽性、在留資格該当性及び上陸許可基準適合性があること
  • 入管法第7条第3号:在留期間適合性があること
  • 入管法第7条第4号:上陸拒否事由非該当性があること

※2号の虚偽性でないことというのは、上陸申請のある「当該外国人の陳述、証拠資料等に基づき、かつ、その主観的意図のほか客観的事実を総合的に考慮して、当該外国人の本邦において行おうとする活動が社会通念上虚偽のものでないということができる」(東京地裁平21.10.16判決)

※4号は入管法5条に規定されている項目で「退去強制された」などが挙げられる。

この7条の一部に「在留資格該当性」「上陸基準適合性」という聞きなれない用語がでてきます。

この「在留資格該当性」「上陸基準適合性」は入国審査において非常に重要視されるもので、これは基準に在留資格が付与されるといっても、過言ではありません。

今回は、「在留資格該当性」と「上陸基準適合性」について分かりやすく解説します。」

⑴在留資格該当性とは

在留資格該当性とは、簡単に言うと、日本で行おうとする活動が入管法に定める在留資格のいずれかに該当するかどうかになります。

例えば、技術・人文知識・国際業務の在留資格を有する外国人Xさんが、日本国内の企業でホテルの通訳業務を行っている場合、Xさんには在留資格該当性が認められます。
しかし、技術・人文知識・国際業務の在留資格を有する外国人Yさんが、その企業をやめ、その後、日本に残留した状態で日本の大学院に入学した場合、Yさんには在留資格該当性が認められないことになります。
つまり、「在留資格該当性」は、在留資格で許可されている活動と実際に行っている活動(これから行う活動も含む)が合っているか否かによって判定されます。

在留資格は入管法規則の別表に規定されています。

※一部抜粋。詳細はこちらから

  • 二の表 高度専門職、技術・人文知識・国際業務、定技能、技能実習など
  • 三の表 文化活動、短期滞在
  • 四の表 家族滞在など
  • 五の表 特定活動
  • 身分系:永住者、定住者など

注意すべきポイントとして、ここに7条第1項第2号には入国に際して在留資格該当性の判定から除外されている資格があることです。高度専門職2号、告示外の特定活動・定住者、永住者はここに含まれていません。

つまり、告知外定住者などの場合には在留資格該当性があっても、定住者資格では上陸できないことになります。そのため、一度希望する在留資格と別の該当する在留資格で入国し、希望する在留資格に変更申請する必要があります。例えば、告示外の特定活動で有名な「老親扶養ビザ」を取得した場合には、短期滞在の在留資格で上陸許可を得て、その後、在留資格変更することが考えられます。

※告示されている定住者特定活動はサイトでご確認ください。

⑵上陸許可基準適合性とは

上陸許可基準適合性とは、上陸許可基準の適用のある在留資格については在留資格ごとに規定されている基準に該当しているかになります。

一部の在留資格には法務省令で上陸できる条件を規定しています。上陸許可基準適合性は在留する外国人の範囲を国の政策の点から調整する必要があるから規定されていると言われております。

上陸許可基準適合性がある在留資格(一部抜粋) ※すべて記載のある省令はこちらから

  • 高度専門職(1号のみ)
  • 経営・管理法律
  • 技術・人文知識・国際業務、
  • 技能実習
  • 特定技能(1号・2号)
  • 家族滞在

なお、配偶者ビザや永住ビザ、短期滞在ビザには上陸許可基準はありません。

上陸許可基準適合性は各在留資格により異なります。どのような基準があるか確認しましょう。

家族滞在

申請人が就労ビザなど(法別表第一の一の表若しくは二の表の上欄の在留資格)(技能実習や特定技能1号を除く)、文化活動の在留資格又は留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受けて在留すること。

技術・人分知識・国際業務

申請人が次のいずれにも該当していること。ただし、申請人が、外国弁護士などの国際仲裁事件の手続等及び国際調停事件の手続についての代理に係る業務に従事しようとする場合は、この限りでない。
一 申請人が自然科学又は人文科学の分野(技術・人文知識)に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な技術又は知識を修得していること。ただし、申請人が情報処理に関する技術又は知識を要する業務に従事しようとする場合で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し又は法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有しているときは、この限りでない。
イ 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
ロ 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。
ハ 十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。
二 申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務(国際業務)に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
イ 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
ロ 従事しようとする業務に関連する業務について三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。
三 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

特定技能1号

特定技能の上陸許可基準の該当性はこちらで解説しております。

終わりに

あくまでも、上陸許可基準適合性は、法律上、原則的に上陸を許可するか否かを判断するためのものでしかありません。ただ、実務上、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の許可の判断に強く影響を及ぼしています。 これは在留資格変更・更新ガイドラインの項目として上陸許可基準適合性が挙げられていることから考えられます。

なお、このガイドラインに、素行要件や生計の独立性、納税負担、入管法の順守が記載されています。

ちなみに私は下記の本を仕事をするうえでよく使用してます。あとは、山脇弁護士の書籍も利用しますね。

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