偽装フリーランスとは?自社社員を雇用でなく、業務委託契約にするリスク【偽装業務請負】

一般的に人を雇う時は「雇用契約」を締結して働いてもらいますが、実務経験の取得や社会保険支払い逃れを目的に、業務委託契約で働いてもらう形式を使っている企業様がおります。

雇用契約と業務委託契約は、似ているようで、まったく異なる契約になります。そして、実体的には雇用契約の形で、形式的には業務委託契約の形をとっていると、予想もしないリスクが生じてきます。

今回は、雇用契約と業務委託契約の違いはもちろん、どういう形式だとリスクが生じるか、判例を題材にして開設します。

雇用契約と業務委託のちがい

まずは、雇用と業務委託の違いを説明します。なお、法令上、業務委託契約という文言はなく、民法上では「委託」という文言になっております。

業務委託会社員
契約形態業務委託契約雇用契約
業務場所制限なし指定された場所
提供するもの業務の遂行労働力
業務遂行裁量上司に従う
勤務時間制限なし
時間の指定なし
8時間以内
就労時間の指定有
賃金制約なし最低賃金以上
福利厚生健康保険や年金は自己負担
有給はなし。雇用保険なし
厚生年金などの社会保険加入
有給あり。雇用保険も加入

ざっくり、違いを言うと、自分の裁量で業務を遂行するのが業務委託契約になります。他方で、雇用契約は、管理者(社長など)の命令の下で就労する形式になります。

業務委託契約のほうが融通が利くので、自分の好きな場所や時間帯に働けます。ただ、福利厚生などは皆無なので、たとえば、精神的な疾患や事故で就労ができなくなっても、傷病手当が出ませんし、有給制度などもありません。会社が半額負担してくれる社会保険なども自分で全て支払う必要があります。

近年、社会保険料が著しく増加しており、企業側がどのように社会保険料を減少されるか検討されたときに、雇用的な働き方(月~金で1日8時間勤務)だが、業務委託契約を結ぶことで、社会保険料の負担を減らすような選択を取るケースが多くなっております。

ただ、このように実態として、雇用契約なのに形式上で業務委託契約を締結するのは非常にリスクがあります。このような形式を偽装フリーランス契約(業務委託)と言います。

偽装フリーランスのデメリット

・解雇無効確認による損害賠償

・残業代請求

主に、偽装業務委託で生じやすいトラブルが上記の二つになります。要するに、業務委託契約が雇用契約であるとみなされて、解雇制限及び残業代の支払義務が生じる可能性が出てきます。では、どのような場合に、偽装業務委託とみられてしまうのでしょうか。

偽装フリーランスになる要件

その契約が、偽装フリーランス契約になるかは、基本的に、下記の5つの要件から、判断することになります。

  • 業務の許諾性:拒否権がないと雇用性が高まる
  • 業務の裁量(遂行、時間及び場所):裁量性が低いと雇用性が高まる
  • 代替性:代替性が低いと雇用性が高まる
  • 報酬額:報酬が一般従業員と比べて高額な場合、事業者に対する報酬と認められやすいため、事業者性を強まる=雇用性が低くなる
  • 専属性(補助的要素):時間的に週40時間に近い業務だと雇用性が高まる
  • 備品の使用(補助的要素):備品が会社提供だと、雇用性が高まる

※「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)」及び令和2年6月11日/東京地方裁判所(平成30年(ワ)34001号)より

もし、自分が契約している契約が偽装フリーランス契約かなと思った方は、まずは当社にご相談ください。お問い合わせはこちらから!

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