宗教法人で新しい事業を行う場合に必要な規則の変更の認証手続【行政書士が解説】
最近、宗教法人が別の事業をしている場合、たとえば、家賃収入や駐車場収入があるケースで、都道府県庁から規則を変更するように求める例が多く見られるようになりました。
宗教法人は、規則に定めている事業しかできないのはもちろん、宗教活動で得られた収入については、原則非課税です。そのため、規則変更せずに、他の事業をしていると、その事業収入が、特別会計(宗教活動外の収入)として処理せず、一般会計(宗教活動収入)として処理しているのではないかと疑われてしまいます。
今回は、宗教法人が都道府県を指摘を受けて規則変更をする場合、宗教法人が新しく事業を運営する場合の手続を簡単に説明いたします。

これまでの宗教法人上のその他の事業
今までは、規則に寺院等のの本来の目的(宗教上の目的)を記載し、規則の最後の方に、「その他この法人の目的を達成するための事業を行う。」という記載で、ほかの事業をすることが原則、できていました。
しかし、昨今のコンプライン意識と高まり伴い、都道府県庁等は収益事業の内容と運営方法を明らかするように指導することが多くなってきました。特に、その事業が特別会計であることや収益事業の処分の方法の明確にするように指導されることが多いです。そのため、規則の変更をしなければならない寺院が増えてきました。
規則変更をしないまま、新規事業を行うと、行政指導(78条の2)や公益事業以外の事業停止(79条)、最終的には、規則の認証取消や解散命令も行われる可能性があります。規則認証の不履行は非常にリスクの高い行為です。なお、上記の行政処分に当たる行為の場合、行政書士が手続きを行うことで、行政指導になるなどの処分軽減をすることも可能です。こちらからお問い合わせください。
ちなみに、宗教法人は、本来の宗教活動をするものですが、例えば、①公益事業(不特定多数の利益を図るもの。教育・医療・社会福祉に関する事業等。幼稚園経営や霊園が多い印象です)や②公益事業以外の事業(法人税法施行令第5条1項の収益事業です。農業が該当します。)もできます。ただし、①と②を行うには、規則変更や登記が必要となっていることや、会計上の処理も特別会計として処理する必要があります。
規則変更の流れ
事業目的に、事業内容を追記する規則変更を行う場合には、
- ①行政庁・包括法人への確認
- ②宗教法人内部の手続
- ③包括宗教法人の手続
- ④公告
- ⑤認証手続が必要となります(宗教法人法第26条1項)
- ⑥登記申請(管轄法務局へ)
- ⑦変更登記届出(管轄都道府県庁等へ)
が必要になります。今回は、この中でも、特に大変な手続や疑義がある手続きを解説します。
①行政庁・包括法人への確認
まず、変更する前に、管轄する都道府県庁や包括法人への変更手続きの確認をしましょう。どの書類が必要になるか、どのような決議が必要になるか、都道府県庁や包括法人により異なります。異なる手続きをしてしまうと、再度、資料を作成しなおす必要があるので、兎にも角にも、最初は確認をしましょう。
②宗教内部の手続き
宗教法人法が規則を変更する場合は、「規則で定めるところによりその変更のための手続」をしなければならないとしています(宗教法人法第26条1項)。 具体的に、どのような内部手続が必要となるかは、各宗教法人の規則の定めるところによります。
ただ、一般的には、責任役員の議決や被包括宗教法人の代表役員の同意等を要すると定められていることが多いと思われます。これは、規則の内容は、これまで、基本的に都道府県庁の指導の下で作成されてきた経緯があるためです。都道府県によっては、見本を準備してそれ通りに作成するように指示するケースもあります。
そのため、①でも記載しましたが、規則変更手続きをする前に、まずは、管轄する都道府県への確認が重要になります。
④公告
宗教法人が、「不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること。」の行為をしようとするときは、一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならないと法律で規定されています(宗教法人法23条)。
もっとも、単なる事業目的の追加をするための規則変更のために、公告は不要ではないかと思われる方もいますが、宗教法人が有する不動産を活用して、事業を実施する場合には、宗教法人法23条に該当するので、公告は必要になります。公告をしないまま、宗教法人第23条に該当する行為をした場合には無効となります(宗教法人第24条)。
また、宗教法人が有しない不動産または財産目録に掲げていない宝物を処分・担保に供する場合にも、都道府県庁側から公告をするように行政指導を受ける場合があります。行政指導のため、法的拘束力はありませんが、宗教法人法の趣旨に照らすと、宗教法人は、「宗教団体」が業務及び事業を運営することに資するために、「宗教団体」に法律上の能力を与えることを目的としているため、責任役員で決めた規則を、「宗教団体」に規則の変更を知らせることが必要であると解せることができます。宗教法人法でも、規則の変更認証には、「変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合していること(宗教法人法第28条第1号)」になっており、効果裁量はないものの、要件裁量はあります。そのため、行政指導であっても、これに従って、公告をしないと規則認証がされない可能性が高いです。
⑥登記申請
規則認証が完了したら、管轄の法務局へ登記申請が必要になります。事業目的は、登記事項でありますので、規則認証完了後、遅滞なく登記申請をしなければなりません。なお、登記申請については、司法書士の業務にあたるので、司法書士に依頼しましょう。
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