技能実習制度は廃止される!?~新しい制度「育成技能」の設立~
技能実習制度は外国人が3~5年間、日本で給与をもらいながら技能を学ぶ制度です。ただ、違法な低賃金や長時間労働、ほかの職種での就労が不可などのケースから、多くの問題が生じています。去年は9000人の技能実習生が失踪しました。
このような事態を解決するために、今の技能実習制度を廃止して、新たな制度をつくる検討をしているそうですが、その新制度の最終報告版が見えてきたの、今回はこの報告版で気になるポイントを紹介します。
①新制度「育成技能」とは
現行の技能実習制度を解消し、人材確保+人材育成を目的に「育成技能」を新設する。これまでは、日本の技能を本国に持ち帰って、それを活かしてくださいとの趣旨でしたが、これに人材確保が追加される形になります。人手不足はどの業界でも大変だからですね。ただし、組合などを介さない企業単独型技能実習は、新制度の趣旨と目的に沿うものは別の枠組みで受け入れができるように検討するとのことです。ただ、企業単独型技能実習は技能実習生の内の3%程度しか利用されていいないので、どこまで話が進んでいくか定めではありません。
②在留期間の短縮
既存の技能実習は通算で5年間(1号→2号→3号)でしたが、「育成技能」は3年間に変更し、3年間で特定技能制度と同等の水準に育成する。そして、特定技能に移行するためには、技能検定や特定技能評価試験の合格+一定程度の日本語能力が必要になります。今まで、技能実習から特定技能に移行するには、評価試験は受験だけすればよく、合格することは求められていなかったので、特定技能に移ることが難しくなりますね。ただ、日本語能力に関しては、今までどおり育成技能を3年間していれば不要になるかと考えられますね。また、試験に落ちても1年間は仕事をしながら、試験を受けることができるようにするそうです。
③受け入れできる職種が縮小
「育成技能」は受入対象分野を特定技能制度の特定産業分野のみに限定するとされています。現在、技能実習制度の対応産業分野は84職種148業種ありますが、特定技能産業分野に限定されると、12分野23業務区分(バス運転の分野も解放されることが検討されているので、13分野になるかもしれませんが)になるため、対応分野が非常に限定的になります。
④転職も可能に
そして、今まで技能実習生は転職することが原則不可能でしたが、一定の条件で本人が希望を出せば可能になります。
現在、検討されている要件は、①同一企業での就労が1年超、②技能検定基礎級(現在の技能実習1号の人が受けるもの)、③日本語能力試験N5レベルが課される予定です。基本的には技能実習1号と同等の能力で転職が可能になると考えていいかと思います。
ほかにも色々検討されているみたいですが、個人的に驚いたのは、登録試験機関の認定要件や委託業務要件の厳格化も検討されているようです。他にも確認した方はここから確認できます。