技能実習生・特定技能生が妊娠した時の対応~どのような手続きを行うべきか~
「技能実習」や「特定技能」で働く外国人の方は今年10万人を超えてきました。来日されて日本で就労していく中で、予期しないトラブルが発生することがありますが、その中でもよく聞くのが、「働く外国人従業員が妊娠をした」という問題です。非常におめでたい話なのですが、外国人は活動する内容に合わせて在留資格を取得する必要があります。そのため、どのような対応をしたらいいか非常に迷うかと思います。
そこで、今回は「自社で働く外国人従業員が妊娠をした」場合の対応方法を解説します。在留資格の変更が必要なのか? 日本に滞在することはできるのか?詳細に解説をしていきます。
妊娠が分かったら
まず、当該外国人の住んでいる市町村の役所で、妊娠届を提出しましょう。妊娠届を提出することで、福祉サービスを円滑に受けることができます。また、保健師との面談があるので、出産の不安や困っていることを相談することができます。
また、妊娠の届け出をすると、母子手帳を受け取ることになります。母子手帳があれば、病院健診の補助を受けることできます。妊婦健診は出産するまで非常に重要なので毎回必ず受診しましょう。
そして、病院では、出産一時給付金の申請をしておきましょう。出産一時給付金は健康保険加入者に対し、出産に係る費用の一部を補助してくれる制度です。この申請を行うことで、42万円の控除が受けられるので必ず使用しましょう。
なお、妊娠したことを理由に解雇することはできません。これは入管よりも注意喚起がされているため気を付けましょう。
産前産後の制度
産前産後の休暇
労働基準法第65条により、生産時の産前産後の休暇が取れるように設定してあります。
産前は出産予定日の6週間前、産後は出産の翌日から8週間の休暇が定められています。
産休時の手当金
産前・産後休暇期間である14週間分の賃金について、会社が負担してくれる場合もあります。ただ、会社から賃金がまったく支払われない場合には、健康保険の加入者であれば3分の2に相当する額が支給されます。
育児休業制度
出産後8週間経過しても、体調的に仕事復帰が難しければ、育児休業制度を子供が1歳になるまで使用することができます。
育児休業中の賃金は、原則として休業開始時の賃⾦の67%(180 ⽇経過後は50%)の育児休業給付を受けることができます。ただし、休業中に賃金が支払われている場合にはこの給付金は支給されません。また、この期間中は、社会保険料は免除されます。なお、この間の解雇は育児・介護休業法や男女雇用機会均等法に抵触するので注意しましょう。
子供が生まれたら(日本で育てる場合)
まず、出産したら14日以内に役所で出生届を提出しましょう。また、①小児医療費助成の申請、②児童手当の申請、③保険証の申込、④生まれた子供の住民票の取得も同時に行いましょう。
その次に、赤ちゃんの国籍となる在日大使館と入管に行きましょう。大使館では出生届の提出とパスポートの発行を申請し、入管では、出生から30日以内に赤ちゃんの在留資格の申請しましょう。なお、基本的に就労ビザを有していれば、子供は「家族滞在」のビザを取得することになりますが、技能実習・特定技能の場合、日本で生まれたその子供のビザは「特定活動ビザ」を取得することになります。
また、育児休業中でも特に在留資格変更などは必要ありませんが、特定技能の場合、育児休業期間でも、その期間は特定技能在留期限の5年間に含まれてしまいます。そのため、可能であれば、家族滞在ビザ(配偶者が特定技能など以外の就労ビザの場合)に切り替えたほうがです。また、育児休業中でも在留期限の更新は必要になりますので注意が必要です。
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