旅館やホテルで外国人を雇用する場合の注意点【国家資格者が解説】
外国人を雇用する場合、適当な在留資格でないと就労させることができません。近年、就労することができない在留資格であるにも関わらず、就労させてしまい、重大な損害を受けている会社が増えています。
特に旅館やホテル業界は、これまで技術・人文知識・国際業務ビザ(以下、技人国ビザという)で就労させてきた流れがありますが、上記のビザでは、旅館やホテルのすべての業務を行うことはできません。ただ、暗黙のルール(もちろん違法です)で、技人国ビザで旅館やホテルのすべての業務に従事させていた実態(いわゆる不法就労です。)がありました。
今回は、旅館やホテルで外国人を雇用する場合の注意店を解説します。

旅館やホテルで外国人を雇用する場合の在留資格
旅館やホテルで外国人を雇用する場合、基本的には下記の在留資格が必要になります。
・技人国ビザ
・特定技能ビザ
その他にも就労可能な在留資格もありますが、原則、上記の2つが必要になります。この二つの在留資格の違いは、技能要件や学歴要件などありますが、一番重要なポイントはどのような業務に従事できるかになります。
2つの在留資格の従事できる業務の違い
フロント業務※ | 企画・広報 | 接客業務 | レストランサービス | 売店・備品の点検 | |
技人国ビザ | 〇 | 〇 | × | × | × |
特定技能ビザ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △※ |
※フロント業務とは、チェックイン・アウト業務、周辺の観光地の情報発信(通訳・翻訳あり)、ホテル発信ツアーの手配を指します。
※売店スタッフや備品の点検や交換は、主たる業務として従事できることはできません。
なぜ技人国ビザばかり使おうとするのか
上記の表を見ると、技人国ビザよりも特定技能ビザを使用したほうが色んな業務ができると思います。ただ、そういう状況でも、特定技能ビザより技人国ビザが使われる傾向が多いです。
この要因としては、
- 特定技能ビザの場合、原則、第三者機関の支援(登録支援機関)が必要になる=人件費などが若干多めにかかる。
- 申請に必要な資料が多く、申請するまでに手間である。
- 他方で、技人国ビザの申請は比較的資料が少ない(しっかりとした許可を得ることを考慮するとあまり変わらないが)
- 第三者機関の監査がめんどくさい
- 技人国ビザと異なり、配偶者や子どもを滞在させることができない
- 技人国ビザのほうが在留期間の更新が少なく、また、5年縛りがない(特定技能1号は5年間)
- 技人国ビザは転職が容易(技人国ビザは転職する場合でも在留資格変更許可申請が不要)
要するに、外国人にしても、会社にしても、技人国ビザのほうが楽というのが理由です。
ちなみに、在留資格に適していない業務に従事させる行為は、不法就労罪に該当します(外国人も会社も)。不法就労については、別の記事にしておりますので、確認してみてください。勝手にあの外国人が働いているんだよという主張は通用しません。
上記のことは入管も把握しているかと思います。その根拠としてこのような通知も出しております。