特定技能「工業製品製造業」の人材を受け入れるためには?【要件の解説】

就労ビザの一つとして特定技能があることは知っているかと思いますが、特定技能「工業製品製造業」があるのは知っていますか。

今回は、特定技能「工業製品製造業」の人材を受け入れるためには、どうすればいいか、要件を踏まえてご紹介いたします。

受け入れる要件とは?

特定技能「工業製品製造業」を受け入れるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 特定技能の受け入れるための基礎要件及び上乗せ要件
  • 受け入れるする会社の業務内容
  • 特定技能生に従事させる業務の適正
  • 協議会の加入

大まかに4つの要件があります。一つずつ確認していきましょう。

特定技能の受け入れるための基礎要件及び上乗せ要件

まず、特定技能を受け入れるためには、入管法2条の5に規定されている要件を満たす必要があります。この要件は、簡単に言うと、①支援責任者及び支援担当者の選任(選任要件あり)、②特定技能外国人が理解できる言語による体制があり、③特定技能に関する文書の管理と保管体制があること、④雇用契約の締結の日前五年以内又はその締結の日以後に、特定技能外国人支援計画に基づいた一号特定技能外国人支援を怠ったことがないこと、⑤定期的な面談を実施することが必要になります。これらの要件は、他の特定技能の業種(建設や外食分野)でも必要になる要件です。なお、登録支援機関に支援委託する(別途手数料を払う必要あり)場合には、これらの要件が不要になります。

なお、詳しくは私の他の記事で紹介しているので、参考にしてみください。

さらに、特定技能「工業製品製造業」の繊維業については、国際的な人権基準、勤怠管理電子化、パートナーシップ構築宣言、給与が月給制であることが求められます。これは「上乗せ要件」とも言われ、特定技能「建設業」でも同じような上乗せ要件が課されています。

受け入れるする会社の業務内容

次に、受け入れする会社がどのような事業を行っているかが重要になります。

全ての事業者が特定技能「工業製品製造業」で外国人を受け入れできるわけではありません。具体的には次の業種をしている会社が受け入れることができます。なお、食品製造業とは異なり、主たる事業でなくても、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野のうち受入れ可能な産業分類に該当した製造品の出荷額が発生している場合には受け入れることができますが、下記で説明する協議会入会の申請に必要な添付書類で、製造品出荷額等の発生を証する書面が必要になります。年に1回しかなかったり、作業期間が短い場合には、製造品の出荷額が発生しているときでも、受入が認められないケースがあります。

  • 11―繊維工業 
  •  141―パルプ製造業
  •  1421―洋紙製造業
  •  1422―板紙製造業
  • 1423―機械すき和紙製造業 
  •  1431―塗工紙製造業(印刷用紙を除く)
  •  1432―段ボール製造業 
  •  144―紙製品製造業
  •  145―紙製容器製造業
  • 149―その他のパルプ・紙・紙工品製造業
  • 15―印刷・同関連業 
  • 18―プラスチック製品製造
  • 2123―コンクリート製品製造業
  • 2142―食卓用・ちゅう房用陶磁器製造業
  • 2143―陶磁器製置物製造業
  • 2194―鋳型製造業(中子を含む)※特定技能2号も可能
  • 2211―高炉による製鉄業
  • 2212―高炉によらない製鉄業
  • 2221―製鋼・製鋼圧延業
  • 2231―熱間圧延業(鋼管、伸鉄を除く)
  • 2232―冷間圧延業(鋼管、伸鉄を除く)
  • 2234―鋼管製造業
  • 225―鉄素形材製造業※特定技能2号も可能
  • 2291―鉄鋼シャースリット業
  • 2299―他に分類されない鉄鋼業(ただし、鉄粉製造業に限る。)
  • 235―非鉄金属素形材製造業※特定技能2号も可能
  • 2422―機械刃物製造業※特定技能2号も可能
  • 2424―作業工具製造業※特定技能2号も可能
  • 2431―配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)※特定技能2号も可能
  • 2441―鉄骨製造業
  • 2443―金属製サッシ・ドア製造業
  • 2446―製缶板金業(ただし、高圧ガス用溶接容器・バルク貯槽製造業に限る。)                                                        
  • 245―金属素形材製品製造業※特定技能2号も可能
  • 2461―金属製品塗装業 
  • 2462―溶融めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)※特定技能2号も可能
  • 2464―電気めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)※特定技能2号も可能
  • 2465―金属熱処理業※特定技能2号も可能
  • 2469―その他の金属表面処理業(ただし、アルミニウム陽極酸化処理業に限る。)※特定技能2号も可能
  • 248―ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業※特定技能2号も可能
  • 2499―他に分類されない金属製品製造業(ただし、ドラム缶更生業に限る。)※特定技能2号も可                                                                  
  • 25―はん用機械器具製造業(ただし、2591―消火器具・消火装置製造業を除く。)※特定技能2号も可能
  • 26―生産用機械器具製造業※特定技能2号も可能
  • 27業務用機械器具製造(ただし、274―医療用機械器具・医療用品製造業及び276―武器製造業を除く。)※特定技能2号も可能
  • 28―電子部品・デバイス・電子回路製造業※特定技能2号も可能
  • 29―電気機械器具製造業(ただし、2922―内燃機関電装品製造業を除く。)※特定技能2号も可能
  • 30―情報通信機械器具製造業※特定技能2号も可能
  • 3295―工業用模型製造業※特定技能2号も可能
  • 3299―他に分類されないその他の製造業(ただし、RPF製造業に限る。)                                                                    
  • 484―こん包業

ちなみに上記の業種は総務省が指定している産業番号に準じた番号になります。詳細はこちらをご利用ください。

特定技能生に従事させる業務の適正

上記の業種に該当する会社で雇用するなら、他の業務にも従事してもらえると考えてしまうこともありますが、入管法ではこれは違法行為になります。特定技能「工業製品製造業」で受け入れた外国人に従事してもらう業務は限定されております。具体的には、下記のいずれかの業務であれば従事してもらうことが可能です。ただし、技能実習から移行する場合には、注意が必要です。

①機械金属加工:素形材製品や産業機械等の製造工程の作業

②電気電子機器組立て:電気電子機器等の製造工程、組立工程の作業

③金属表面処理:表面処理等の作業

④紙器・段ボール箱製造:紙器・段ボール箱の製造工程の作業

⑤コンクリート製品製造:コンクリート製品の製造工程の作業

⑥RPF製造:破砕・成形等の作業

⑦陶磁器製品製造:陶磁器製品の製造工程の作業

⑧印刷・製本:オフセット印刷、グラビア印刷、製本の製造工程の作業  

⑨紡織製品製造:紡織製品の製造工程の作業     

⑩縫製:縫製工程の作業 (*1号特定外国人のみ従事可能)

協議会の加入

最後にですが、上記の要件を満たしていることを証明するために、協議会へ加入が必要になります。他の分野は協議会の加入にはそこまで資料などは必要ないのですが、

特定技能「工業製品製造業」については、資料等を添付した上で、経産省に申請することで加入できます。

どのような資料が必要になるかというと、上記でもお伝えした「製造品出荷額等の発生を証する書面」が必要になります。この書面で上記の受け入れる会社と特定技能生に従事させる業務を証明することになりますので、官庁の審査にも耐えうることができる資料を作成する必要があります。

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