自筆遺言書を作成するときのルール~注意するべきポイントを解説~
遺言書には、遺言者の手書きで作成する「自筆遺言」と公証役場にいる公証人が作成する「公正証書遺言」の二つがあります。
遺言書の作成する場合、どちらの形式で遺言書を作成するかで悩んでいる方は非常に多いです。
端的に言いますと、自筆遺言は無料で、かつ、簡単に作成できるため、多くの方が利用しています。しかし、遺言が無効になってしまうなどのリスクが非常に大きいです。私も仕事で何度か自筆遺言書を見たことがありますが、法律上のルールに従っていないため、無効になってしまうケースが多いです。
そこで、今回は、自筆遺言書作成するときのルール、自筆遺言書のメリットとデメリットを解説します。
自筆遺言書のルール
民法では、「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。」としています。このような方式が決められた行為のことを「要式行為」と言います。なぜ、このような要式行為が取られているのか。それは、死後の遺言書を保護する目的と相続が生じた後の紛争回避を目的が考えられます。
しかし、過度な厳格な方式を要求すると、遺言書を作成しても、その内容が無効になってしまいます。これでは死者の意思表示を保護する制度が機能しなくなり、本末転倒になってしまいます。そこで、判例では、なるべく遺言者の真意を活かせるようになっています。
では、実際にはどのようなところに注意ですればよいのでしょうか。
まず、大前提に民法の規定を守らなければなりません。
(自筆証書遺言) 第968条
民法968条
- 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
- 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全文又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
- 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
基本的には、民法968条に従って遺言書を作成すれば問題ありません。ただ、法律の条文は取ってきにくいので、下記に注意ポイントまとめてみました。
①自筆
・遺言の内容は全て自分で自筆する。
・カーボン紙を使用した複写は自筆にあたる。
・ワープロなどで作成したものは自筆でない。
②日付
・作成日付のないものは無効。吉日なども日付が特定されていないので無効
・真実の作成日付と相違しても、それが誤記であり、かつ、真実の作成日が遺言から容易に判明する場合は有効
・日付が特定されている日(冬季長野オリンピックの開会式の日)などは有効
③氏名
・氏や苗字だけでも、本人が特定できれば有効。ただし、基本的には本名のフルネームを署名するべし。
・氏名欄に遺言者だけでなく、その配偶者が記載されている場合でも、単にその配偶者の氏名が記載されているのみで、遺言書の内容に何ら関係がなければ有効。もっとも、基本的に氏名は遺言者のみを書く。
④押印
・実印でなくとも、認印や指印でも可能。ただし、花押などは無効
・遺言書が複数ページに渡る場合に、各遺言書に契印がなくとも、数枚が1通として作成されたことがわかれば有効
⑤加筆・修正
・明らかな誤記は、訂正方法に民法上の規定が守られてなくとも有効
⑥その他
・財産目録に関しては、自書でなくてもいい(パソコン等で作成可)。ただし、財産目録の各頁に署名押印をしなければならない。
自書でなくてもよいものとされます(パソコン等の利用可)。ただし、財産目録の各頁に署名押印することを要する扱いとなります。
また自筆遺言書を保管できる制度もあります。詳しくはこちらをご確認ください。
代表挨拶
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”地域社会で困っている人たちを支援する”を志し、行政書士になりました。
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