賃貸契約書の注意5個のポイント【契約書の専門家が説明】
はじめに
これから新生活や引っ越しなどが多くなる季節です。弊社でも賃貸借契約書の作成依頼が少しずつ増えており、春が少しずつ近づいていることを感じております。
さて、アパートやマンションを借りる際には、賃貸契約書をオーナー様と締結することになります。契約書は私的自治の原則から当事者間で自由な内容で結ぶことが可能ですので、しっかり契約書を確認しておかないと、大変なことに合います。私も以前住んでいたアパートを退去する際に原状回復の条文の部分で揉めたことがあります。みなさんには、安心・安全に不動産を借りることができるように、今回は「賃貸契約書の注意ポイント」を説明させていただきます。
注意ポイント
①設備
設備の項目には、トイレ、洗面台や給湯器などの室内に備えてある備品が記載されております。ここで注意が必要なのは「家電などの備品がある」場合です。
室内にエアコン、給湯器や冷蔵庫などの家電がある場合、基本的に「設備」として記載されているかと思います。「設備」であれば、オーナーさんの所有物になりますので、故障した際には連絡することで修理や代替品に変更など対応してくれます。しかし、設備ではなく「残置物」の場合にはオーナーさんの所有物ではないので、故障した場合には自分で廃棄処理や買い替えをしなくてはなりません。内見の際に、室内に家電などがあった場合には「設備」か「残置物」かの把握をしておきましょう。
②契約期間・賃料
賃料の部分は事前に把握してあることが殆どかと思いますが、振り込み手数料の負担、光熱費用や駐車場が賃料に含まれているのか、契約更新時の料金や賃料に消費税が含まれているか、振込会社の指定があるかなど把握しておきましょう。なお、一般的に契約期間は2年間契約で、更新する際には1ヶ月分の更新料を支払うケースが多いです。更新料は普通借家契約でも定期借家契約でも注意しましょう。定期借家契約の場合には更新する際には、新しく契約を結び直すことになります。普通借家契約とは異なり、自動的に更新されることはありません。
③退去時の原状回復や事前通知
一般的には退去する1ヶ月前に解約の申し入れが必要になってきますが、これも契約によって2〜3ヶ月前からの申し入れが必要になっている場合にもあります。事前通知を怠ると余分に賃料を要求されるケースもありますので、事前通知の期間を把握しておきましょう。また、退去時の原状回復範囲も重要です。一般的には日常的な利用による設備の劣化は原状回復の範囲外になりますが、契約によってその範囲は異なってきます。ちなみに、風呂の鏡の水アカ汚れは借主負担になることが多いので、退去時に掃除しておきましょう。なお、私の経験になりますが、入居時に部屋の至る所の写真を撮っておき、不審に思う箇所があったら、管理会社やオーナーに連絡&証拠を残しておいた方がいいでしょう。
④仲介手数料
不動産を契約する際の初期費用には必ず「仲介手数料」が含まれております。これは、取引を行う際に貸主と借主の間に入り、契約・引き渡しまでサポートした不動産会社に支払う手数料です。一般的に0.5~1.5ヶ月分に設定されています。ただし、2020年の東京高裁の判例で、仲介手数料は原則的に0.55%を限度にするようと書かれています。詳しく記載すると複雑になるので、簡単に説明しますが、初期費用を提示された段階(物件の仮申し込みの前)で仲介手数料の値下げを交渉してみましょう。不動産会社のスタッフには一定程度の営業ノルマが課されていますので、ほとんどの場合、値下げに応じてくれることが多いです。
⑤特約規定
特約事項は色々ありますが、一般的には⑴転貸の禁止(借りたものを他人に貸すこと)、⑵ペットの飼育や楽器の演奏の禁止、⑶3人以上で住むこと、⑶共用部分に物品を置かないこと、⑷反社会的勢力の拠点にしないこと、⑷事業の事務所として使用しないことなどが挙げれられます。特約事項に反すると、途中で立ち退きを命じられるだけでなく、違約金も支払う必要が出てきます。特約規定はしっかり確認しておくことはお勧めします。
終わりに
今回は「賃貸契約書の注意ポイント」を説明させていただきました。1月から4月までは新生活が始まったり、転勤や転職があったりと引っ越しシーズンとなります。不動産を借りる際に自分を守るためには知識をつけるしかありません。無駄な出費や争いを避けるために本ブログを参考にしてから、契約書にサインをしましょう。
また、当社は色んな契約書を作成しておりますので、お悩みでしたら、お気軽にご相談ください。