特定技能生を雇用している会社が注意するポイント3戦【入管から行政指導・処分される事案】
現在、特定技能生は全国で約29万人ほどおり(令和6年12月現在。出入国管理局より)、令和7年8月の時点で約30万人超になっているかと思います。
製造分野(食品・工業)をはじめ、介護や建設分野など人手不足が著しい分野で活用されている特定技能制度ですが、近年、法的ルールを遵守しない企業(受入機関)が多く、入管による行政指導や行政処分が行われております。行政指導や行政処分を受けると、違反した事由や企業名が入管ホームページ上に掲載されてしまい、受入拒否やコンプライアンス問題を問われてしまいます。
今回は、特定技能を雇用している企業は、どのようなポイントを注意すればよいか、簡単に解説させていただきます。

①定期・随時届出
特定技能を雇用している企業は、年1回(今年の4月より年1回に改正)の定期届出と特定の事由が発生した際に、入管に14日以内に届出をしなければなりません。
この届出をしない場合、特定技能省令2条4号(適正確保)違反、罰金、科料の処分があります。さらに、行政指導や改善命令措置(行政処分)もあります。実際に、届出義務違反で、改善命令措置(行政処分)をされた会社があります。
具体的にどのような事例が該当するかは、こちらのページを参照してみてください。
②書類管理不備
特定技能を雇用している企業は、法令に規定された書類の管理が義務付けられています。なお、法令に規定された書類の管理は、特定技能を受け入れる企業の要件になっていますので、これを守っていないと、それだけで特定技能生の受入拒否事由に該当してしまうので注意が必要です。
具体的には、下記のような書類の管理が求められています(一部のみ抜粋)
- 特定技能生名簿
- 支援責任者・支援担当者などの管理簿
- 事前ガイダンス確認書
- 生活オリエンテーション確認書
- 相談実施表
- 転職支援書
- 定期面談確認書
③法定管理書類
②と似ているような書類ですが、こちらは、入管法上ではなく、諸関係法令において必要な書類になります。
- 賃金台帳
- 労働者名簿
- 年次有給休暇管理簿
- 出勤簿(通達で作成義務とされているのみ)
上記の書類がない場合、入管法第2条の5に反することになるので、こちらも特定技能生の受入拒否事由に該当します。
書類名 | 記載事項 | 備考 |
賃金台帳 | 氏名、性別、賃金計算期間、労働日数・時間、賃金、手当、控除額 | 事業所ごとに作成 |
労働者名簿 | 氏名、性別、生年月日、住所、業務、就職・退職日 | 事業所ごとに作成 |
年次有給休暇管理簿 | 取得日、付与日、日数 |