【行政書士が解説】技能実習生の不祥事対応:万引き発生時の対応手順と退職・解雇の注意点

実習生の頑張りに日々喜びを感じる一方で、「もし、実習生が予期せぬトラブルを起こしてしまったらどうしよう…」という不安を抱えることもあるかもしれません。特に、「万引き」のような犯罪行為は、企業イメージの毀損はもちろん、今後の実習生受け入れ体制全体に影響を及ぼす重大な事態です。

「軽い気持ちでやってしまった」「日本のルールを知らなかった」—たとえ実習生に悪意がなかったとしても、法律の専門家である我々は、万引き行為が単なる社内処分で済まされない法的リスクを伴うことを理解しています。

この記事では、行政書士として数多くの外国人労働者関連の事案に携わってきた経験に基づき、技能実習生による万引きが発生した際に、企業が取るべき「適切な初期対応」から「入管への対応」、さらには「解雇」といった雇用契約上の問題までを具体的に解説します。

法令上の対応

まず、大前提として、技能実習生は、有期雇用者になるので、やむを得ない事情がなければ認められません(労契法17条)。

次に、技能実習生の万引きが「やむを得ない事情」であるか否かが問題になります。万引きをした場合、裁判を経て「窃盗罪」として有罪が確定(1年を超える懲役または禁錮。執行猶予を含む)していれば、入管法上の「退去強制事由(入管法第24条第4号)」に該当するので、技能実習生はそこで終了となりますので、「やむを得ない事情」であると言える可能性が高いです。※なお、技能実習のような就労ビザではない身分系のビザの場合、実刑判決でなければ、退去強制事由に該当しません。

しかし、有罪判決がない場合は、入管法上の「退去強制事由」に該当しないので、引き続き技能実習を継続することになります。

上記の場合には、就業規則に基づき、懲戒解雇をすることが考えられますが、就業時間外の非行行為は、企業秩序維持とは直接関係のないことであり、原則、懲戒解雇はできないため、「やむを得ない事情」であると言えない可能性が高いです。会社の社会的評価の低下・毀損した、または、おそれがあれば、懲戒解雇も可能ですが、これは個別的判断になるかと思います。

実務上の対応

上記のように、有罪判決もなく、または、就業時間外の非行行為であるため懲戒解雇も難しいときは、雇用契約上の雇用期間の満了で退職とし、監理団体(組合)が当該技能実習生を預かり、在留期間が切れるまで、新しい実習場所(転籍)を探すことになります。ただ、新しい実習場所を探すのもかなり難しいことが多く、実務的には、機構(技能実習機構)の支援も受けつつ、新しい実習場所を探すことが多いでしょう。

お気軽にお問い合わせください。080-8874-9690受付時間 9:00-20:00 [ 土・日・祝日対応可能 ]

お問い合わせ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です