主任技術者と専任技術者(営業技術者)の兼任についての3ポイント【行政書士が解説】
建設業許可の相談を受ける際に、主任技術者と専任技術者を兼任したい話を受けます。
特に内装業などは一人親方(一人会社)が多いので、上記のような相談が多い気がします。これらの技術者は、建設業法にそれぞれ就任の要件や役割があり、許可を受けるうえで非常に重要な存在です。
今回は、主任技術者と専任技術者のそれぞれの役割と要件、兼任する方法等を解説します。

主任技術者(建設業法第26条第1項)
建設現場の管理を行う者で、一つの現場に一人以上の配置が求められます。また、常勤(社会保険加入)であることも必要です。よく、主任技術者を税金や社会保険対策から雇用契約ではなく、業務委託契約で現場に出てもらっているケースありますが、基本的に偽装請負(偽装業務委託契約)になり、労働基準署や県庁などから指摘を受ける可能性があるので控えてほうがいいでしょう。
基本的に、現場への専任は必要ありませんが、公共性の高い仕事(個人住宅、長屋(共有部分無)等の工事以外)で、かつ報酬額が4500万円(建築一式は9000万円)以上は「専任」が必要になります。「常駐」と「専任」の違いもよく聞かれますが、専任は、「勤務時間中は他の工事現場に係る職務を兼務せず、配置された現場に従事すること」を意味します。なお、建設業においての専任で設置する期間は、① 請負契約の締結後、現場施⼯に着⼿するまでの期間(現場事務所の設置、資機材の搬入または仮設工事等が開始されるまでの間)、② ⾃然災害の発生、埋蔵文化財調査等により、⼯事を全⾯的に⼀時中⽌している期間、③ ⼯事完成後、検査が終了し(発注者の都合により検査が遅延した場合を除く。)、事務手続、後片付け等のみが残っている期間を除く期間は現場で従事することを指しています(監理技術者制度運⽤マニュアル 三(2)参照)。
専任技術者(営業技術者)(建設業法第7条第2号、同法第15条第2号)
専任技術者は、建設工事に関する請負契約の適正な締結やその履行を確保するために、各営業所に必要になります。専任技術者は、資格や実務経験だけでなく、専任かつ常勤していることが必要になります。
専任かつ常勤なので、勤務時間中は他の工事現場でなく担当の現場にいること、社会保険加入が必須になります。
主任技術者と専任技術者(営業技術者)の兼任
上記の説明を見ると、専任技術者は、報酬の要件を問わず、請負契約の締結にあたり技術的なサポート(⼯法の検討、注文者への技術的な説明、⾒積等)を行うことが職務であり、営業所に常勤(テレワーク含む)していることが原則なので、主任技術者と専任技術者(営業技術者)の兼任は法令に抵触するため、兼任できないと言えそうです。
ただ、例外的に、技術者の専任が求められない⼯事であって、①当該営業所において契約締結した建設⼯事で、②当該営業所の職務を適正に遂行できる程度近接した⼯事現場で、③当該営業所と常時連絡をとれる状態である場合には、当該⼯事現場の技術者になることができます(監理技術者制度運⽤マニュアル 二-二(5)参照)。よって、上記の①~③をすべて満たせば、主任技術者と専任技術者(営業技術者)の兼任は可能です。
もっとも、当該営業所の職務を適正に遂行できる程度近接した⼯事現場については、行政により判断が異なっているので、注意が必要です。大阪だと営業所から1時間(神奈川県は2時間)の距離であったり、他の地域は10キロ以内であったり。この辺は、行政に申請する前に確認しましょう。
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