難民ビザの申請中に就労するためにはどうするべきか?【企業が知っておきたい難民制度】

難民認定とは

「難民」の定義は色々ありますが、入管法上の「難民」とは、難民条約で定義されている「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者」を指しています。

この条約が定義する「難民」に該当する人は、日本の法務大臣に難民であることの認定を申し出ることができます。世間で言われる「難民申請」とは申し出をした当該外国人が難民に該当するか否かを審査して決定をする手続きになります。

入管ホームページより参照

上記の表を見ると、法務大臣に対する異議申し立ては3回ほどできることになります。なお、異議申し立ては、法務大臣から難民と認定しない旨の通知を受けた日から7日以内に異議申立書を地方入国管理局へ提出しなければなりません。

難民認定制度とはー出入国在留管理局

仮滞在許可とは

在留資格を有していない難民認定申請中の外国人は、以下の要件を満たすことで、申請の審査期間中に限り、日本に滞在することができる「仮滞在許可」の資格が与えられます。なお、在留資格を有している場合には特定活動ビザが付与されます。

  • 一定の退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由がない事
  • 日本に入国した日から6か月以内に難民申請を行った場合
  • 日本滞在中に難民となる事実が生じた場合には、その事実を知った日から6か月以内に難民申請を行った場合
  • 難民条約上の迫害を受けるおそれのあった領域から直接日本に入国したとき
  • 日本に入って後に刑法等に定める一定の罪を犯して懲役または禁錮に処せられたものでないこと
  • 退去強制令書の発布を受けていないこと 
  • 逃亡する恐れがあると疑うに足りる相当の理由がないこと

仮滞在許可の有効期限は6ヶ月間です。この資格の期間中は就労活動が禁止されており、また、入管より出頭の命令があった場合にはこれに応じる義務があります。

なお、仮滞在許可と類似する「一時庇護上陸許可」があります。これは船に乗っている外国人が難民に該当する場合には発行されるもので、一時的に上陸させるべき緊急的な理由がある事案の際に使われます。

難民申請中の滞在

難民認定申請を行なっている(不服申し立てを含む)外国人については、下記の要件を満たす場合、特定活動ビザ(難民認定申請者)が発行されます。

  • 申請時に入管法上のいずれかの在留資格をもって在留し、又は入管法第22条の2第1項の規定により在留していること(申請人たる出生した子を監護する父母のいずれもが在留資格を有しない場合を除く)
  • 難民認定申請を行っており、かつ、難民認定申請に係る処分又は決裁の告知がなされていないこと
  • 初回の申請者であること、かつ、複数回にわたり申請を行っている者であっても、難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を繰り返し主張して再申請を行っている者、正当な理由なく迫害事由について同様の内容を繰り返し主張して、今次申請を含めて3回以上の申請を行っている者に該当しないこと

なお、平成30年から運用されている通称「振り分け制度」により、難民該当性が著しく高い外国人に関しては、難民認定申請後6ヶ月後から就労が可能になる特定活動ビザから、速やかに(申請から2ヶ月後ほど)就労可能な特定活動ビザ(6ヶ月間)が発行されます。なお、上記のビザが出ない可能性もあるので、注意が必要です。

就労可能な特定活動ビザが出る条件としては、①報酬を受ける活動を行うことを希望していること、②本邦において利用可能な自己資産額に鑑みて、生計を立てることが困難であり、かつ、本邦又は海外の申請人の親類、友人、組織、身元保証人から生活支援を受けられない場合には就労可能な特定活動ビザが取得しやすいです。

ただし、上記の場合でも、①報酬を受ける活動を希望しない、②現に有する在留資格に該当しなくなった後に難民申請を行った者、③出国準備期間中に該当する短期ビザや特定活動ビザの在留資格を有した状態で申請した者は、就労可能な特定活動ビザは発行されません

就労制限の対象となる難民認定申請者について

一般的に特定活動ビザは素行不要などがない限り、更新することが可能ですので、難民認定申請が終わるまで(大体2年半ぐらい)更新し続け、就労することが可能になります。

難民申請の流れ

順番手続特記事項
短期滞在ビザで入国まずは来日する必要があります
入管で難民申請を行う※東京出入国管理局は3階で行う
※在留期限までに行う
入管で在留資格変更許可申請を行う※特定活動の在留資格をもらう
結果が通知されたら、在留カードを受け取りに行く※2~6か月で就労可能なビザがもらえる
難民申請の結果が出るまで在留期間を更新し続ける※2年ぐらい更新可能
難民申請の結果が出る※難民認定されると定住ビザになる

※申請に必要な資料は①申請書、②写真、③申請者が難民であることを証明する資料、④パスポートなど。詳しくはこちら

難民申請中から配偶者ビザや就労ビザに変更は可能?

制度上、特定活動(難民申請中)から配偶者ビザの変更は可能です。ただし、その夫婦間の婚姻の信憑性と生計の安定性を丁寧に疎明する必要はあります。ただ、2018年の運用見直しから、難民ビザから配偶者ビザへの変更申請は非常に難しいものとなっております。

そのため、一度本国へ戻っていただき、ビザ変更申請ではなく、ビザ新規申請で配偶者ビザを取得した方が容易なため、多くの専門家がこのような案内をしています。弊社も、外国人の状況にもよりますが、一度母国へ戻ってもらってから新規申請することをお奨めしています。

難民認定を受けたら

難民認定を受けると、原則5年間は定住ビザの在留資格を受けることができます。このビザを有していると、日本人と同様に、国民年金・国民健康保険、児童手当などを受給することができます。

また、難民旅行証明書の交付を受ければ、何度でも日本から出国することができ、また、来日することが可能です。さらに、永住ビザの申請の際に、要件が緩和措置が取られるので、他の在留外国人よりも容易に永住ビザを取得することができます。

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